どうも、Spadeです
ガールズバンドアニメが流行っていますね
早速ですがその理由を独断と偏見で語っていきます
女性がギターを弾くに至るまで
まだジェンダー意識が根深く残る昔、女性はピアノを、男性はギターを弾いていました
そこから女性がギターを弾くようになったのは何故でしょうか
特にアメリカでは2000年のガレージロックリバイバルの終焉とともにヒップホップ等の音楽が流行し、ロックバンドが流行らなくなりました
一方、日本ではアニメソングが主にバンドで演奏されることもありオタク文化の大衆化に伴いバンド音楽もポピュラーなものとして受け入れられていきました
また日本では一昔前にバンド音楽が一世を風靡し、バンド発掘番組なるものまで存在していました
その頃にもバンドをする女性は少数ながらいましたが、当時は不良がバンドをやっていたりした影響でバンドハウスの治安もあまりよくなく、バンドの多くは男性で構成されていました
さて、時は流れそんなバンド世代のおっさんに子どもができるわけですが、どういうわけか日本では女の子の習い事としてピアノを選ぶ層が一定数おり、幼少期の音楽リテラシーは男性より女性のほうが高い傾向にあります
そんな中バンド世代のおっさんが青春時代の音楽に浸っていると、当時の音楽に興味が出てきた女の子がおっさんの青春時代の遺物であるギターに興味を持つことになります
ギターは弾けるまで通常ある程度の時間を要しますが、特にピアノを習っていた方々からするとそこまでの抵抗感もなく演奏することができるでしょう
こうしてギターを弾く女性が増えていったことがガールズバンドが多く出てくる下地を作っていきました
チャットモンチーの存在
チャットモンチーはガールズバンドの歴史を変えた凄まじいバンドであります
何がすごいかというと、楽曲が複雑でそれを実現する圧倒的演奏力を備えているにも拘わらず、それを感じさせないどこにでもいそうなボーカルの声質とそこから繰り出される何でもない日常を切り取った歌詞を兼ね備えていたことです
バンドの圧倒的ポテンシャルによりスターダムを駆け上ったチャットモンチーに、親しみやすいボーカルと歌詞に親近感を覚えたギターガールズは我こそが次のチャットモンチーになるべくこぞって軽音部に入りバンドを組みました
これは2000年にthe strokesが世に出たことにより「これなら俺にもできる」と勘違いしたギターキッズを大量に生み出したのに似ています
チャットモンチー現象もまたバンドを志すガールズを増やした要因の一つでしょう
ガールズバンドの隆盛
チャットモンチー世代が成長することでガールズバンドが増え、ライブに興味を持つガールズバンドも必然多くなっていきました
また、出演者に女性が増えればそれだけ観客も女性が増えていきます
そうなるとライブハウスは治安の悪い状態ではいられません
必然的にライブハウスは以前より治安のいい場所へと変わりました
するとこれまではライブハウスで見たイカした兄ちゃんのように、モテたくて楽器を始めたキッズがライブハウスで見たイカした兄ちゃんのように、あのバンドのように自分もステージで輝きたいと楽器を始めるガールズをさらに増やしていくのでした
その過程で、フォロワーを産みまくった偉大なバンドのガールズバンド版が現れるようになりました
飽和した音楽業界の中で、一時期多くのキッズが影響を受けたバンドのような曲をガールズ達が演奏することが言わば流行の再解釈のような現象を生み出します
私は音楽業界にいた訳ではないのでわかりませんが、そこに目をつけたプロデューサーがいたのかいないのか、等身大の私たちを表現するガールズバンドが主流だった中から次第にクールなサウンドを放つガールズバンドが現れました
自分の娘のような年齢の女の子が自分の青春の匂いのする音楽をやっている、これにはバンド世代のおっさんはひとたまりもありません
また、ステージで輝きたいガールズ達にも支持を受ける形となりガールズバンド界隈が少しずつ盛り上がっていくのでした
アイドルの凋落
ガールズバンドが盛り上がる少し前、圧倒的に人気を博していたのはアイドル業界でした
某天才プロデューサーによる大人数かつ身近なアイドルグループが誕生し、CDも売れに売れまさにこの世の春を謳歌していました
しかし、アイドルの時代は某巨大グループの誕生とともに凋落することを運命づけられていました
某アイドルが始めたアイドルの大衆化と、それに並行して女性の社会進出が進んだためです
さらに某男性アイドル団体がとどめを刺しました
アイドルの大衆化が何故アイドル時代の凋落を招くのか、何なら時代を築いた要因ではないのか、との意見があると思います
ですが私は、アイドルの大衆化によりアイドルの差別化が難しくなったことがアイドル時代凋落の大きな要因と考えます
アイドルが遠い存在だった頃、アイドルはアイドルというだけで差別化できていました
アイドルという存在が特別であることを強調するようなプロモーションが行われており、アイドルを目指すということは選ばれた人間がさらにその先へ行くようなものでした
果たして現在、アイドルの大衆化により、今や誰でもアイドルになれます
誰でもアイドルを名乗れるようになり、アイドルは爆発的に増えました
もはやアイドルは本来の意味を失ってしまいました
それがいいことか悪いことか、私は特に興味ありません
ただ以前のアイドルが特別な存在だからこそ持ち得ていたカリスマ性がアイドルから失われたことは確かです
また、女性の社会進出により女性の評価軸が多様化しました
昭和のアイドルに代表されるように、女性の評価軸はいわゆる女性的かどうかが主でした
今となっては考えられませんが、当時の企業の採用基準が結婚できそうな器量のいい女性かどうかですらあったと噂で聞いたことがあります
現代では女性の社会進出が進み、その結果女性も能力やスキルを評価されるようになりました
そのことがアイドルの凋落とどう関係があるのか、そう思われる方もいらっしゃると思います
一言でいうと、アイドルも能力やスキルを評価されるようになったのです
アイドルにとって歌や踊りはステージパフォーマンス以上の意味はなく、自身のキャラクターを表現するものに過ぎなかったものでしたが、今や歌や踊りはスキルとして評価されるようになりました
どういうことかというと、特別な存在であったころのアイドルは歌や踊りは上手い人も下手な人もいましたが、アイドル自身のキャラクターを説明するものであったため上手い下手で評価されることはありませんでした
現代のアイドルは基本的に歌や踊りが上手ければ上手いほど評価されます
アイドルが爆発的に増え、ただでさえ差別化が難しい中、容姿やキャラクター以外の評価すら求められるようになったのです
そんな中某男性アイドル団体の失墜が重なり、もはやアイドルとは何なのか、大衆はアイドルとどう向かい合えばいいかわからなくなりました
こうやってアイドルとは何か、その存在証明がわからなくなったアイドルというカテゴリーは一時期の絶頂期から凋落していくことになるのでした
アイドルに代わるもの
アイドルが存在証明を失いつつある中、アイドルファンの受け皿になったのがガールズバンドでした
ガールズバンドは今や音楽オタクが多数派を占める男性バンドにはない、人々がアイドルに求めるものを持っていました
容姿、キャラクター、楽器演奏(バンドによっては作詞作曲まで)というスキル
ガールズバンドを求めたのは男性ファンだけでなく女性ファンも同様です
特に女性ファンにとって、先天的な要素のように見える女性性で人気を得ていたアイドルより、後天的な要素のように見える楽器演奏のスキルを持ったガールズバンドのほうが応援や憧れの対象になりやすかったと思います
また、仮に自分が目指すとして、大人数のアイドルグループに加入したところでステージでのパフォーマンスはさながらショーケースに陳列された商品のように品定めされるのみですが、ガールズバンドは違うように映ります
ガールズバンドはバンドそれぞれの世界観を表現しており、初期のアイドルが持っていたような特別なものを、カリスマ性を持っているように映るのでした
こうしてアイドルに代わる、アイドルをアップデートしたものとしてガールズバンドが受け入れられたように思います
ガールズバンドアニメが流行った理由
これまでの経緯を読んでいただいたあなたには、ガールズバンドアニメが流行った理由がいくつか思い当っていると思います
文字通りアイドル 偶像として楽しむ者、バンド活動真っ只中にいる者、バンド世代の者…
視聴する層が多いというのもひとつあると思います
違う要素として、物語としてのキャラクターの妙があると思います
どういうことかというと、登場人物の数および役割分担が丁度いいのです
まず、日本でバンドといえば主にギターロックの3人から5人程度のグループを指します
そして基本的な編成はボーカル(ギターボーカル)、ギター(キーボード)、ベース、ドラムです
これだけではわかりにくいので、わかりやすくサッカーと比較してみましょう
サッカーで物語を作ろうと思うと、最低でも味方の11人が必要です
また、試合に勝つたびに違うチームと対戦するので敵キャラも話が進むにつれ指数関数的に増えていきます
そうなると一人一人のキャラクターを掘り下げることは難しく、結果人物より展開の面白さが優先されがちです
翻ってバンドは軸となる人物は多くても5人程度です
敵キャラについても敵に勝ったからといって新たな敵と戦うわけでもありません
何故なら音楽はそもそも対戦するものではないからです
また、メインキャラクターの役割も演奏する楽器の特性上ある程度分担されています
つまりキャラクターを掘り下げる時間があり、また担当する楽器でキャラクターを立たせることもでき、また音楽の性質上人間性をさらけ出しても違和感がないためドラマとして人間関係を語るうえで非常に便利な仕組みでもあるわけです
そのうえ初心者から初めて既存の曲を弾く段階、自作の曲を作る段階、地域で名が売れてきた段階、全国に名前が轟いた段階、など登場人物の成長をわかりやすく表現する指標もあります
バンドメンバー内で衝突しながら楽器を練習し上達することで少しずつ上のステージに上がっていく…
衝突する中で少しずつキャラクターが掘り下げられ個々人の行動原理がわかり登場人物に深く共感できるようになっていく…
面白くならないわけがないですよね
そして何故実写ではなくアニメなのか
それは実写で見るとあまりに非現実的に見える夢も、歯の浮くようなセリフも、夢のような舞台もアニメという非現実的な舞台装置を通すことで却ってリアリティを持って我々の心に訴えかけてくるからではないでしょうか
以上が私 Spadeなりに考察したガールズバンドアニメが流行った理由です
面白かった、納得した、私はこう思うなどご意見ありましたらぜひコメント頂けると嬉しいです
では、また別の記事でお会いしましょう
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